第2回 サプリにもなる?インドのスパイス事情

荒川にガンジス川を想う 西葛西のインド人

 「スパイスに興味を持ったのなら……」と、チャンドラニさんが経営するインド料理の食材店を教えてくれた。インド出身の人たちが家で料理をするための材料を調達する店だという。店に向かう途中、西葛西の西側を流れる荒川に立ち寄る。奥秩父に端を発するこの川は全長173kmで、東京の重要な水源でもある一級河川。西葛西に住むインドの人たちには、都民の生活を支える荒川が、彼らが聖なる川として崇める「ガンジス川」を思い起こさせるというからだ。

 「インドの古い町は川沿いにあるんです。紀元前2000年前後にインダス川流域でインダス文明が栄え、そこから人々はガンジス川流域に移り住むようになりました。だから水がある生活がインド人には心地がよい。私もよく荒川の土手沿いを散歩しますよ」と、チャンドラニさん。全長2500km以上にも及ぶというガンジス川に比べたら小さな川だが、なにか包み込んでくれるような穏やかさがある。この街にインド人が集まる理由はここにもあるのかもしれない。

インド料理は油が決め手

 インド食材店「スパイスマジック バザール」には、乾燥豆や米、お菓子、レトルト食品など、日本のスーパーではおよそ見かけない珍しいものがずらりと並んでいた。嬉々として店内を物色していると発見しました、スパイスコーナー。カルダモンにクミンといったものから、フェヌグリークやニゲラ……聞き慣れないものも多いが、チャンドラニさんの話を頼りにひとつひとつ手にとってみる。

 「フェヌグリークは苦味のもと。とっても苦いけど消化を助ける効果があります。ニゲラは利尿薬としても使われていますよ。ターメリックは別名のウコンのほうが日本では有名かもしれません。ウィルスやバクテリアが身体に進入するのを防ぐ効果があって、インドでは毎日毎食、料理に入れるクミン同様ポピュラーなスパイスです……」

左がガンジス川(東インド・パトナー付近)で右が荒川。どうです、似てますか?
左上から時計回りにターメリック、クミン、カルダモン、コリアンダー(種)、ブラックペッパー、フェヌグリーク。レストランでは10種類以上のスパイスを使うところもあるが、家庭ではターメリック、クミン、コリアンダーと唐辛子が基本