「私が初めて富士山に登った1970年代半ばには、すでに富士の崇高なイメージは各種の商業施設のせいで地に落ちていた」

「遠くからは相変わらず優美な姿を見せていた富士山だが、近づいてみると、みすぼらしい露店や散乱するゴミ、トイレの不足によって汚れきっていた」

 ほかには世界遺産に登録できなかったことや、自殺の名所である青木が原樹海、地震と噴火の歴史などを取り上げています。このように富士山には多くの問題がありつつも、登山客や周辺に暮らす人々に話を聞いて、筆者はしめくくります。

「富士山はいつもそこにある身近な存在だ。人々の抱いているこうした親近感が、この山の神秘的な魅力を損なうことはほとんどない」

「多くの人々が日本の象徴と対峙して自分を見つめ直すことで、精神的にひとまわり大きくなる」

 2002年8号はすでに日本版があるので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。銭湯の絵の写真もございます(笑)。

 この特集で米国人ジャーナリストは「1970年代半ばには、すでに崇高なイメージは地に落ちていた」と書きましたが、おそらく現代的な意味で観光地化される前のカラー写真が1959年12月号にあるので、最後にそれを紹介します。

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