何度も富士山に登った登山家のウェストンだけあって、この特集では富士湖(Lake Fuji、原文ママ)、白糸の滝、精進湖から見た富士山の写真が3枚も使われました。全39枚中の3枚ですから、日本の山を、いや、日本の地理を代表する扱いですね。文章でも“いちばん高くて美しい山(highest and most beautiful mountain)”、“美しき聖なる山(beautiful and sacred mountain)”などと表現しています。

 いずれの記事でも富士山が“sacred”と表現されています。チェイピンなどは、”beautiful“など見た目についての形容詞は使っていません。霊峰の印象は外国人にとってよほど強烈だったのでしょうか。特にウェストンは古いものと新しいものが入り混じる日本の象徴として、富士山の例で筆を置いています。

「この美しく聖なる山の実に際立った特徴は、10世紀の古い日本と20世紀の新しい日本が交差している点にある。頂上にある神社のすぐそばには郵便局があって、登頂に成功した巡礼者が興奮冷めやらぬうちに絵葉書を投函している。そして夜が明けようとするそのとき、火口のふちに建てられた最新式の気象観測所に驚かされる一方、白装束につつまれた巡礼者たちが “ご来光(Rising Sun)”の輝きに祈りを真摯にささげる姿にまた驚かずにはいられないのだ」

 この“Rising Sun”は「日出る国」、つまり、新興国日本という意味とかけています。

 その後も日本の記事では、富士山がしばしば紹介されてきました。なかでも興味深かったのが1933年3月号「長い歴史を持つ若い国」で富士山が日本一高い山ではなくなったというもの。

 なぜだと思います?

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