第13回 パナマ運河

 運河と言えば、パナマやスエズなどの世界三大運河を思い浮かべます。前回紹介した欧州の運河と異なり、大運河では前後を巨大な板で仕切り、水を抜き差しして水位差を克服する「閘門」(こうもん)を通過していきます。巨大な建造物だけに迫力があり、通行するだけで思い出深い経験になります。今回はパナマ運河でその経験をじっくりと味わってみましょう。

パナマ運河では、客船が巨大な閘門を抜けながら進む、人工的な風景が面白い。通航風景を見るために、乗客がデッキ前方に集まってくる。
写真:高橋敦史(写真クリックで拡大)

 パナマ運河は中南米の船旅で、まさに人気のコースです。世界的に大きな客船会社が運河通過を組み込んだ多彩なコースを実施しています。一般的なのは、太平洋沿岸のカリフォルニア側とフロリダ半島のマイアミ(フォートローダデール)を結ぶコースで、全航程は約2週間。運河自体の全長は約80キロあり、客船はコンクリート壁に囲まれた巨大な閘門を抜けながら進んでいきます。

 このパナマ運河は遊覧船でも観光できますが、高さのある大型客船で行くのが一番です。高所から運河に近づけば、10年の歳月をかけて完成した巨大な人工物の全容が一望でき、その迫力に感動することができるでしょう。1914年に完成したこの運河は今なお、土木史上で最大規模のプロジェクトと言われています。

 巨大な運河がつくられた人工的な風景は、閘門で端的に見ることができます。最初の閘門に到着すると、まず、客船の四隅にロープがかけられます。このロープは、閘門に沿って動く電気機関車が船を引くためにかけているもの。閘門の幅ぎりぎりの大型船で見られるこの光景は、この運河がシステマチックに管理されていることをうかがわせます。

 太平洋側から運河を進むと、ミラフローレス閘門を抜けた後、船は広々とした水域を自走していきます。その後、ペデロミゲル閘門を抜け、入り組んだ岸辺が続く一帯を進むと、視界が一気に開けてきます。ここは運河の一部になっている広大なガトゥン湖です。この後、ガトゥン閘門を抜け、パナマ運河を離れた客船はカリブ海からマイアミへと進んでいきます。

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