「──遺伝子的に均一だってことはもうはっきりしているんですよね。逆にいうとリーセントアフリカンオリジン(最近、アフリカから出てきたばかり)ということなんですよ。20万~10万年前ぐらいに進化して、世界中に広がったっていうことですね。もちろん、見かけは違いがたくさんあります。地域の気候だとか、いろいろな条件に適応的な部分だけセレクションを受けて、見かけが相当変わっているってことですよね。だけど、全体の遺伝子の中で違いのある部分は、本当にわずかでしかない。これが分かってきたのが、本当にここ最近の人類学の一番大きな発見の1つだと思うんです」

「──僕はよく思うんですけど、例えば食べるものとか、それから芸術にしてもね、外国の人も日本人もだいたい同じものをいいって言うじゃないですか。そういう感覚って、やっぱり遺伝子が近いからなのかなとかって想像したりするんです」

 では、なぜ、そこまで均質なまま、ホモ・サピエンスは地球上に拡散できたのだろうか。ごく自然にそういう疑問が湧いてくる。それまでの人類にはできなかったことなのだから。

「実は、最初に見ていただいた映画『人類の旅』で言いたかったことでもあるんです。要するに、マンモスが体を進化させることによって寒さに適応したのとは違って海を越える技術を持ったり、北の寒いところに適応する技術を発達させる。そういう創造的な活動をして、その中には芸術だとか音楽だとかも入っていて、今の僕らを築いてきたわけですね。僕は、純粋にこれ、すごいと思うんです。ホモ・サピエンスっていうのはすごい。しかも、何万年も前の旧石器時代の祖先たちがやってのけたわけですからね」

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