第15回 ときにはカッコ悪い旅 パタゴニア追想記 その(3)

 ドキュメンタリを撮りにいくことになっていたのだ。3本マストの帆船でマゼラン海峡やビーグル水道を行く。砲艦の旅も非常によかったが大昔のように帆船で行くのはもっといいではないか。

 期待にみちあふれてそれに乗るべき帆船の停泊地を訪ねた。ナバリーノ島のプエルト・ウィリアムスだったような記憶がある。ここはチリ最南端の村であり、当然えらく寂しいところだ。入り江の奥にその船はあった。

 しかしこの旅の「コトの顛末」のあまりのバカバカしさに当時メモしていた旅ノートもどこかにふっとばしてしまったので正確には何トンの何型の帆船に乗ったのかいまはもうわからない。

 チリ最南端のちゃんとした街プンタ・アレナス(人口10万人ぐらい)からその島までは約500キロ。時間がないのでそこまでなんとか頼み込んでチリ海軍の魚雷艇に乗っていった。魚雷艇はその性質からいってもの凄い速さだが船体の3分の2はエンジンという感じだった。乗っていると通常の状態ではもう会話はできない。常に全身振動マッサージを強引にやらされている感じで、隅っこを見つけて寝袋にもぐりこみうずくまって寝てるしかなかった。

 丸1日もかからずに到着した記憶がある。ディンギー(ゴムボート)をつかって魚雷艇からその帆船にあがった。