第15回 ときにはカッコ悪い旅 パタゴニア追想記 その(3)

魚雷艇

 パタゴニアに行けば必ずなにか想像もできなかったようなことに出会う。それを求めてぼくはくりかえし、この「さいはての風の国」へ行く。しかしあるテーマのもとに目的をもって行ってもそれが達成されるかどうかは行く前には当然わからないし、現地に行ったとしてもわからなかったりする。わざわざこんなに遠くまで来たのに、と怒るがそれがパタゴニアなんでしょ、あんたもわかっているんでしょ、と言われれば「うつむく」しかない。

 前回は一番最初にパタゴニアに行ったとき、思いがけないラッキーかつ偶然の連続でチリ海軍の砲艦に乗ってケープホーンから悪魔が吠える海、ドレーク海峡まで行ってしまった話を書いた。

 今回はそれに続く船旅の話だが、だいぶオモムキが違う。パタゴニアへの旅というとどんなエリアに行ってもそこそこ驚嘆する風景や出来事にあう。後年、その反対側の北極圏のアラスカ、カナダ、ロシアの3つのエリアに行ったことがあるが、北極圏よりもパタゴニアのほうが「おそるべき風景」に出会う率が断然高いのだ。

 しかし、今回の「パタゴニアの旅の物語」は、あまりにもみじめでカッコ悪く、悪い意味で信じられないおそるべき出来事に出会い続けたので、1カ月近くうろついていたというのにあまり覚えていない。旅話を書くのが好きなので、今回も本を書くつもりでいたのだが、結果的に「こりゃだめだ」ということになってしまい、断片的な話を短くどこかの雑誌などに書いたかもしれないが、基本的な「だめ」の顛末はちゃんと書いていなかったような気がする。