第4回 アジアに来たとき、ヒトは何をしていたのか

「でも、当時、本当にどういう研究をやってるのかもわかってないし、それをやってどうなるのかも理解してなかったですね。実際にやりはじめて10年くらいたって、やっとわかってきたというか。学部生で進路を決めたとき、今、東大総合研究博物館にいらっしゃる諏訪元先生が、わたしの所属していた東大の講座に移ってこられたんです。アフリカのいろんな猿人のだとかのレプリカを個人的に持っていて、みんな初めて見るものばかりで、そんなレプリカ見るだけで感激していたのをよく覚えていますね」

 海部さんは、特にアジアの調査研究をしたいという希望を持つようになる。人類進化というとなにかとアフリカが注目を集めるが、我々はアジアに住んでいるんだから、という気持ちがあったのだそうだ。

「それでインドネシアに行くかと国立科学博物館におられた馬場悠男先生に誘われて、それはもう大喜びして出かけていったのが最初です。それからジャワ原人の研究をずっとやっていくことになるんですが、でも、原人ばかりを見ていたいわけではないんですね。ジャワ原人を1つの突破口にして、アジアから人類の進化全体を見たいわけです」

人類進化は猿人、原人、旧人、新人と進んだ。ただし、実を言うとこの分け方は日本だけのもので、海外では「ホモ・エレクトス」や「ホモ・サピエンス」などの「ホモ属」とそれ以外で線を引くことが多い。(写真クリックで拡大)