第12回 ニベルネ運河

 大河のリバークルーズに続いて、今度は「運河」を航行していく船旅を紹介しましょう。通常の河川と異なり、運河は人工的に築造された後、人びとが周囲に集まって生活の足跡を残しています。しかし、完成から長い年月を経た運河の多くは、まるでそこに存在することが当たり前であるかのように、一帯の自然な風景の一部と化しています。今回紹介するフランスのニベルネ運河もまさにそんな運河の1つと言えるでしょう。

フランスの内陸にあるニベルネ運河では、のどかな風景が続いていく。途中、写真のように船の通過に合わせて、つり橋が上下する場所もある。
写真:束田勝広(写真クリックで拡大)

 ニベルネ運河の旅は、パリの南東150キロにあるオーセールという街が基点となります。オーセールは、セーヌ川支流のヨンヌ川沿いに開けたブルゴーニュ地方の中心都市です。船はここから出発し、小さな村などを訪れながら、南方のクラムシーを目指していきます。ニベルネ運河自体は全長約170キロありますが、船旅は運河のほんの一部、直線距離にして約40キロを1週間かけて航行していきます。

 基点となるオーセールに停泊中の船に乗り込むのは、夕刻のこと。シャンパンで出迎えられ、日が暮れればすぐに夕食となります。翌日は、ブドウ畑が見渡すかぎりに続く一帯を抜けてバンセルヘ。ここでは辛口の白ワインの産地として有名なシャブリなどを訪れてみましょう。

 その後に寄港するのは、メリラビユ、ルシシュルヨンヌ、終着地のクラムシーといった町や村です。運河沿いでは、ブドウ畑や田園、緑豊かな森といったのどかな風景がずっと続いていきます。日本の旅行ガイドブックではめったにお目にかかれない田舎町や素朴な風景を、この運河クルーズでは存分に楽しむことができます。

 船上ではこうして静かな時間が過ぎていきますが、乗客のもう1つの楽しみは食事タイム。供されるのは、フランスの田舎料理で、この地に足を運ばなければ味わえない美食の数々は、旅人の舌を大いに満足させてくれることでしょう。なお、この運河クルーズは、週ごとにスタート地点と終点が入れ替わる逆ルートとなり、11月~3月は運休していますので、注意してください。

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