なるほど~と感心しつつ、豆カレーもとい、豆の煮込み料理・ダールをひとくちいただく。豆は口の中でほろりと崩れるほどにやわらかく、ほのかな甘みがスパイスの刺激をやわらげるとともに、味に深みを出している。

 ダールという言葉は料理を指すと同時に、「挽き割った豆」という意味を持つ。チャンドラニさんが出してくれたダールには、インドではポピュラーなムング豆とトゥール豆の2種類の挽き割り豆が使われているという。挽き割ることでとろみとうま味が引き出され、まろやかな味に仕上がるのだ。

 「インドは日本の約9倍の面積を持つ広い国です。地域によって気候も異なりますから、北は小麦、南では米を主食にするなど、食文化も地方色豊か。でも、ダールは全国で食べられています。インドは人口の半分がベジタリアンなので、豆は貴重なタンパク源になるし、乾燥させれば日持ちがしますから、どの地域でも重宝されたのでしょう」

 だから、インドでは大豆をはじめ、レンズ豆やひよこ豆、インゲン豆などたくさんの種類の豆が栽培され、どの村に行っても豆を売る店がある。ダールには挽き割っていない豆や皮のついた豆も使われるし、同じ豆でもスパイスの種類や調理法を変えることで味の幅は無限に広がるから、毎食でも飽きることはないとチャンドラニさんは言う。

ダールに使われる色鮮やかな豆。同じひよこ豆でも丸のまま(右上)と挽き割ったもの(その下)では見た目も味わいも異なる。チャンドラニさんの店では常に10種類は置いてあるという

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