見れば、黄褐色のどろっとした汁に鼻の奥がぴりっとする香辛料の香り。こ、これは・・・・・・。

「カレーですね」

 思わずつぶやくと、チャランドニさんは首を横にふった。

「これはダールといいます」

 そもそも、インドにカレーという言葉はない。大航海時代にインドにやってきた西洋人が、インド人が食べているスパイスを使った煮込み料理を「カレー」と呼び、それが世界に広まったのだという。語源は諸説あるが、インド南部の言葉・タミル語で「汁」を意味する「kari(カリ)」がなまったもの、という説が有力だとか。

 「インド人は3食カレーを食べていると言われますが、我々から見れば全部違う料理なんです。だから、みなさんがチキンカレーと呼んでいるものも、インドでは調理法や使うスパイスによってそれぞれ違う料理名がついています。ダールとは豆の煮込み料理の総称。インドでは毎日毎食、このダールを食べるんです。まさに、日本でいう“味噌汁”ですね」

家庭でよく食べられるムング豆とトゥール豆を使ったダール。クミンやコリアンダーなどのスパイスの風味が食欲をそそる。ちなみにムング豆は、日本では緑豆と呼ばれ、もやしの種子として利用されている

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