第48回 ノース・カントリー・ロッジ
ダルースのホステルを出発してから、ずっと目指してきたムース湖。
カヤックで旅を始めた当初は、原生林の奥に位置するこの湖は、地の果てのようなところなのかと思っていました。
しかし、実際に来てみると、湖畔には木造の家がちらほらと顔を出し、別荘地のような雰囲気で、人の気配がそれなりにあるところだと分かりました。
ウィルダネス保護区への旅の拠点となる場所なのか、何艘ものカヌーや、モーターボートが、ぼくの脇を通り過ぎていきます。
どこでカヤックを降りたものだろうと、湖岸沿いに進んでいくと、先日通り過ぎたレンジャー・ステーションみたいに、茶色い小屋が並んでいる一画が見えてきました。
ボートをつけられる屋根付きの桟橋があり、岸にはいくつものアルミ製のカヌーが転がっています。
きっと観光客向けのロッジかなにかでしょう。
湖面から様子をうかがっていると、Tシャツを来た男の人が向こうから現れました。