File5 実はヤバい永久凍土 飯島慈裕

第1回 永久凍土って何ですか?

左の写真(2007年8月)に元気だった木が、2年後(2009年6月)に枯れている。「凍土の湿潤化」が原因と、飯島さんは突き止めた。(提供:飯島慈裕)(写真クリックで拡大)

 取材陣の手元にある、2013年2月づけのJAMSTECのプレスリリースには「東シベリア永久凍土地域の湿潤化で森林が衰退」とある。
 湿潤化で森林が衰退?
 森が衰えるのは、氷が解けてなくなるためではないんですか?

「それだけではない、ということです。今、北極周辺で起きていることを説明します」

北極圏の気圧パターンが崩れている

 北極圏では2005年、2007年、そして2012年に海氷が激減している。特に夏の減り方が顕著だ。この原因のひとつに、北極圏の大気の状態が変わったことが挙げられる。要するに、気圧配置が変わったのだ。

 もともと、北極は全域で気圧が高くなったり、低くなったり、気圧の変化が一様なのが普通だった。その指標が、北極振動と呼ばれているもので、ちなみに日本を含め北半球の中緯度地域はこうした北極の気圧変動に応じて、暑かったり、寒かったりする。

 ところが、そのパターンが崩れつつある。

 夏、北極圏に高気圧と低気圧が両方とも居座るようになったのだ。多いのは、北米側に高気圧、シベリア側に低気圧というパターン。このパターンになったとき、北極から大西洋に向かって風が吹き、海氷が流されてしまうのである。2005年以降の海氷激減は、こうした気象要因も強く関わっていた。

2005年~2007年の夏の平均的な気圧配置。北米側に高気圧、シベリア側に低気圧が居座った結果、北極海の海氷が風で流されたり、シベリアに雨を降らせたりしている。(提供:飯島慈裕)(写真クリックで拡大)