第3回 景気だけでなく若さもUP?! アベノミクスが見据える再生医療

目、歯、心臓、内臓、関節、血管などを再生する細胞シート

 細胞シートをご存じだろうか? 実は最も実用的な再生医療の1つとして注目されているのが、前出の間葉系幹細胞など、患者本人の細胞を培養して、シート状に加工し、それを傷や患部に貼って治療に生かす方法。すでに紹介した歯周病で失った歯肉の再生のほかにも、角膜の再生、心臓病で壊死した心筋の再生、腎臓や肝臓など消化器の再生、変形性質関節症など損傷した関節の再生、床ずれなどで失った組織や末梢血管の再生などが細胞シートを移植することで可能になりつつある。iPS細胞を用いて細胞シートを作製する研究も進められている。

 細胞シートを用いた治療では、メスを使った大掛かりな手術ではなく、細胞シートを患部に貼るだけなので、患者への負担も少なくて済むが、安全性や持続性などを検証する必要がある。細胞シートは現在、臨床研究中で本格的な実用化に向けて大量生産が可能な「細胞シート工場」「臓器ファクトリー」などの構想が進んでいる。

 次回は宇宙飛行士たちが経験する宇宙空間での「急速老化」と、それに抗う「宇宙医学」に秘められたアンチエイジングの可能性について紹介する。

宇山 恵子(うやま けいこ)

医療ジャーナリスト、京都府立医科大学特任教授、東京医科歯科大学非常勤講師。大学卒業後、新聞社、広告会社で医療をはじめ美容、ダイエットなどの取材を担当。海外アンチエイジング情報の翻訳、取材も行う。