第3回 景気だけでなく若さもUP?! アベノミクスが見据える再生医療

 安倍政権による経済政策、通称「アベノミクス」の中心的な成長戦略のひとつに再生医療が掲げられた。政府はその中でもiPS 細胞の研究に10年間で1100億円規模の長期的な支援を行う意向だ。これに対して炎症再生医学会理事長で東京医科歯科大学副学長の森田育男氏は「iPSを用いた再生医療は、多くの疾患を解決する先端医療で、高い期待が寄せられている。しかし、実際の患者への応用に関しては、まだまだクリアしなければならない問題が山積している。その意味から長期の支援を行うことは必要不可欠である」と意見を述べる。

 実はこのiPS細胞は、健康長寿とアンチエイジングにも密接に関係している。

 我々の体は60兆個の細胞で形成されているが、もともとは1つの受精卵からスタートする。受精後のごく初期段階における胚では、さまざまな細胞になれる「幹細胞」が増殖し、それが脳、骨、内臓、筋肉など体に必要な組織や臓器を作る。

 だが成長とともに幹細胞は減少し、20歳頃には全細胞の0.01%に減ってしまう。そして残りの99.9%の細胞は多くて50回の細胞分裂を終えると寿命を迎え死んでいく。さらに残念なことに年齢とともに細胞分裂の回数は減り、細胞ひとつひとつの寿命が短くなる。それが老化や病気を引き起こし、最後には我々を死に至らしめる。

 しかし老化や病気を起こした部分に、iPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)などから作った細胞や組織を移植することで、老化を抑制したり、病気を治療することができる。これがアベノミクスにも掲げられている再生医療なのだ。