第6回 113番新元素の名前は何になる?

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 113番元素の先取権・命名権を、森田さんたちが手にすることができるか、まだ確定したわけではない。ただ、その期待は高い。前にも述べた、森田さんの部屋がある建物の1階の展示スペースでは、すでにいくつかの命名案が掲示されていた。

 ジャパニウム、ワコニウム、ニシナニウム。

 ジャパニウムはもちろんジャパンを意識してのこと。ワコニウムは、研究所がある埼玉県和光市からとったもの。ニシナニウムは、日本の現代物理学の父とも評され、理化学研究所の所長も務めた仁科芳雄博士にちなんだものである。

 名付けによっては、非常に大きなニュースになるだろう。メディアスクラム的な過熱をするかもしれず、それはちょっと勘弁とも思う。

 しかし、基本的には、非常にわくわくすることだ。前にも書いた通り、世界中の人たちが学ぶ周期表で、世界の確固たる秩序と神秘を示すピースとして、我々の社会が生みだした研究成果がはっきり示される、ということなのだから。

立体核図表の113番新元素の位置を指しながら。(写真クリックで拡大)

おわり

森田浩介(もりた こうすけ)

1957年、福岡県生まれ。理学博士。独立行政法人理化学研究所仁科加速器研究センター・超重元素研究グループ・グループリーダー(ディレクター)、および、超重元素合成研究チーム・チームリーダー。九州大学大学院教授(理学研究院物理学部門基礎粒子系物理学)。1984年、九州大学理学研究科(物理学専攻)博士後期課程の在学中に、理化学研究所に研究員補として入所。主な研究分野は「超重元素の合成」。長年の努力が実り、2004年、日本の科学史上初めて、元素番号113の新しい元素の合成に成功した。2005年度第51回仁科記念賞受賞。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)はNHKでアニメ化され、「銀河へキックオフ」として放送された。近著は、独特の生態系をもつニュージーランドを舞台に写真家のパパを追う旅に出る兄妹の冒険物語『12月の夏休み』(偕成社)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)。
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