第6回 113番新元素の名前は何になる?

森田さんはなぜ超重元素を作るのだろう。(写真クリックで拡大)

 超重元素を作り出し、発見する。

 森田さんは、なぜそのような研究をするのだろうか。3つの要点があるという。

 まず、科学としての探究。発見したもの、過程で開発された技術の応用。そして、社会への影響、だ。

 ひとつめ、科学的探究の部分は、研究者として基本的な部分だろう。

 森田さんは、核図表を指さし「まだ発見されていないマスを1つ1つ埋めていくというのは大事なことです」と述べた。すべての可能な同位体を網羅し埋めていくこと自体、壮大なロマンである。また、ひとつマス目を埋めることに成功すれば博士号論文が書ける、というくらい大きな業績でもある。それが「マス目の縦方向」に新しい元素になると、つまり、新元素ということで、より価値が大きくなる。

 また、その先に何があるのか、という興味もつきない。

「陽子と中性子の魔法数に、もっと大きなものがあると言われています。つまり、原子番号がさらに大きな超重元素で、安定の島と呼ばれる領域があるかもしれないんですよ。そこまで到達するのが大変なんですが、いろんな手法が今提案されていて、準備実験みたいなものが幾つかのところで進んでます。ブレイクスルーというのにはまだほど遠いんですが」

 森田さん自身は、113番元素の合成については実験をたたみ、今後は119番元素の合成・発見を目指すという。実は118番元素を、ロシアと米国の合同チームが発見しており(未認定)、さらに上を行く考えだ。

2013年5月号特集「未知なる元素をつかまえろ!」
本誌では超重元素合成の世界情勢をレポートしています。フォトギャラリーもあるWebでの記事の紹介はこちら。また、電子版では未知の元素の合成方法や、新元素の横顔を紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。