第4回 とある超重元素の検出装置

 登場するのは、「気体充填型反跳分離器(GARIS)」だ。ガリスと読む。個人的には、アクセントがどっちの母音にあるのか気になる。ガーリスなのか、ガリースなのか。

合成された原子核を検出する「ガリス」。左上からビームが入ってきて、回転式の標的にぶつかり、新たな原子核が標的から飛び出すと右端の半導体検出器まで飛んでトラップされる。(画像提供:理化学研究所)(画像クリックで拡大)

 どちらにしても、重イオン線形加速器と並んで、実にSF的な名前だが、アイデアとしては1950年代からあり、森田さんが独自のアレンジを加えて設計した。気体充填というのは、ヘリウムガスを封入してあること。反跳というのは、衝突が起きてぶつかった原子核がくっついたり弾かれたりして跳ぶことを意味する英語の「リコイル」の日本語訳。超重元素が合成される時、原子核同士がくっついた上での反跳の仕方が決まっていることを使ってほかの核種と分離する。

「衝突が起きて原子核がくっついたものは、まっすぐゼロ度方向(ビームが飛んできたのと同じ方向)に飛んでいくんです。それで、うまくくっついたものを半導体検出器に導く時に、大強度のビーム粒子(この場合亜鉛70)と分離させるために磁場の中で円運動させるんですが、その半径はイオンがどれだけ電荷を持っているかで決まります。原子から電子が幾つ剥げたかによるので、統計的にしか決まらないんです。そこでヘリウムのガスを充填してあることが効いてきまして、飛んでいるうちにヘリウムのガスと衝突して、電荷が減ったり増えたりしつつ、結局、最初はどんな電荷状態であろうと、最終的には平均的な半径になって狭い範囲で受け取ることができるようになっているんです」

ガリスでヘリウムガスがない場合(左)と、ある場合(右)。ヘリウムガスが存在すると、図のように合成された原子核を1カ所に集めることができる。(画像提供:理化学研究所)(画像クリックで拡大)