第1回 日本人初!の“超重元素の錬金術師”

 物質の基本単位は分子、分子は原子の組み合わせでできている。原子の中心には原子の大きさに比べるととても小さいけれども、原子の重さの99.9%以上を担う原子核がありそのまわりを電子が飛び回っているという構造をしている。原子番号とは原子核に含まれる陽子の個数のこと。元素とは同じ陽子の個数を持つ原子群をまとめて呼ぶ名前である。森田さんのような原子核物理の専門家は、元素といってもとりわけ原子核に注目していることに留意。

 ウラン235やウラン238という表記が出てきたが、それはまさに原子核レベルの問題だ。同位体という概念を思い出していただけるならよいのだが、念のために書いておくと、原子番号を決めるのは、前述の通り原子の中でプラスの電荷を持った陽子の数であり、それが決まれば元素が決まる。しかし、原子核の中には中性子もあるので、中性子の数によって、同じ元素なのに重さが違うもの(同位体)がいくつも存在することになる。化学の世界で使われてきた周期表では、同位体は考慮されず元素は元素でしょう! という雰囲気でまとめてあるのだが、同じ元素でも何種類も同位体があるということをここでは念頭に置いておこう。

 そして、その上で、森田さんは、原子核を構成する陽子と中性子の「魔法数」について教えてくださった。

「──原子核にも陽子と中性子がある特別な数になったときに安定になる性質があって、魔法数と呼ぶんです。陽子の方では、2、8、20、28、50、82、その6種類が既知の魔法数で、中性子の方は、それにもう1つ126が加わります」