第1回 日本人初!の“超重元素の錬金術師”

森田浩介さん。(写真クリックで拡大)

「──原子核は、陽子と中性子という2つの種類の粒子が核力という強い力で結びついているシステムです。陽子は電気的にプラスなので、陽子がどんどん詰まって原子番号の大きな原子核になっていくと、陽子同士の電気的な反発力で不安定になっていくんですね。それで、原子番号の大きな元素の原子核は、核分裂しやすく不安定で、寿命の長いものは存在しないんです。そこで、重たい元素、もっと細かく言うと重たい原子核が存在し得るのかというのは、原子核物理学そのものの根本的な興味なんですよ」

「──超重元素というのは、自然のままでは地球上には存在しないとされています。普通にまとまった量存在するのは原子番号92のウランまでです。地球ができてから40数億年ですけど、その時にあったウラン238の半減期は40億年以上なので、まだ半減期くらいです。一方、ウラン235の半減期は7億年ほどなので7半減期近くなっていて2の7乗分の1になっている。それより重たい領域の原子核は、例えばプルトニウムですと何十万年というような半減期しかないので、初期の地球にはあっても、今は全部壊れてしまっているんですね」

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 プルトニウムの数十万年という半減期は、人間にとっては永遠に近いが、地球の歴史の中ではたしかにほんの一瞬だ。物事は、どのスケールで見るかによって景色が変わってくる。

 いきなり話が壮大になってしまったが、ここで高校の物理化学を復習しておきたい。