3月8日のあの日、いったい何が起きたのか。

 その場に居合わせた男の目撃証言はこうでした。

 若い父親でもある彼が、家族3人を載せて、ハイウェイ6号線を南下していたときのことです。

 病気かケガをして、弱っているオオカミを反対車線の道路脇に見つけたので、車を止めました。

 オオカミは立派に成長した個体でしたが、ガリガリに痩せこけ、車にでもぶつかられたように見えました。

 すると、女性が1人で運転する車が、すぐ後ろに止まりました。

「おそらく彼女はかわいそうだと思ったんだろう……」

マイナス35度に下がった厳冬期のキャンプ。テントからそう遠くない場所から、オオカミの群れの遠吠えが聞こえてきた。狩りの合図だろうか。(写真クリックで拡大)

 男とその家族は、女性が車の外にでて、2車線のハイウェイを横切り、オオカミが立っているところにむかって、10メートルほど歩いていくのを見ました。

「彼女は手に何かを持っていた。ポテトチップスだったかな? そして、袋の中身を、道路の脇に撒いたんだ。自分の車からずいぶん離れているのに……」

「そうしたら、オオカミはゆっくりと彼女に近づいていった。しかし、彼女は動かなかった。食べ物をあげようとしているかのようだった」

「いったい何をしてるんだ?」と男がつぶやいた、その次の瞬間、オオカミは彼女に飛びかかりました。

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