第39話 古き良きアラスカの知恵に、目が点!

 というのも、私はボウラインを知っていたからである。

 もちろん、いろんなやり方があるけれど、私は山や海の世界の人から様々なローピング方法を教わって身に付けてきた。

 カナダの牧場で働いていたときにも、カウボーイのおじさんから、農場仕事で多用する結び方をたくさん学んだし、国内外で出版されているローピング読本も多数読んでいる。

 けれど、オリバー爺さんのその手つきだけは、今まで見たことのない結び方だったのである。

 オリバー爺さんは、力が入らず震えてしまう手で、せっかく結んだ紐を解いて、もう一度見せてくれた。

 けれど、どう見ても、「最初に輪っかを作って、先っちょを輪に通して、下にいって…」という基本ではないし、その変則形の「紐の交差点をくるっと回せば、ほら最初の輪っかができたでしょ?」というものでもない。

 もちろん「自分で片手で結べ!」と、水難救助法で教わるけれど、実はロープを握るこぶしが輪っかから抜けなくて、「あ~、手首が抜けない」しかもロープが締まって「イテテ」となる、あの難のある方法でもない。

 それは今まで見たことのない手の動きなのに、出来上がった結び目は、舫い結びの形をしているのである。

「なんで、こんな手つきで、この結び目ができるのか…………」

 私は不思議になって、結び目に目を近づけてじっくりと見てみた。すると、

「これはな…………」
 と、オリバー爺さんが、ゆっくりと話しだした。