第39話 古き良きアラスカの知恵に、目が点!

「それに……、灰はの、脱臭剤でもあったんじゃ。夏のアウトハウス(野外のトイレ)には、これが欠かせない。今のように、水洗ではないから、用が済んだら、灰を一振りかけるんじゃ。そうすると夏でも臭わん」

 なるほど、それは確かに効き目がありそうだ……。

 ここも西部劇に登場しそうなボットン野外便所であるから、それは必須中の必須である。

「灰はの、捨てる理由がないんじゃよ」

 そう言ってオリバー爺さんは、2本の杖をゆっくり交互に出しながら、自分のキャビンに戻って行った。

オリバー爺さんお手製のソックスです。(写真クリックで拡大)

 そんな物知りオリバー爺さんの教えの中で、私が最も感心をしたのは、舫(もや)い結びである。

 それは、山や海、アウトドアに携わる人ならば、一度は必ず覚える結び方のこと。

 オリバー爺さんは、いつも飼い犬と共にロッジにやってくると、犬のリーシュを椅子の足に縛り付けていた。

 その様子を見て、私は「それは、なんていう結び方?」と尋ねた。

 今までに、見たこともない手つきをしていたのである。

「これは、ボウラインだよ」とオリバー爺さんは言う。

 ボウラインとは、舫い結びのことである。

 けれど私は、眉間にしわを寄せて考え込み、少々懐疑的な目をした。