第1回 不老不死と狂気から始まったアンチエイジング

 アンチエイジングの原点は「不老不死」への憧れ。紀元前2000年頃の古代メソポタミア作品「ギルガメッシュ叙事詩」に登場する「不老不死の薬草」が最古の文献。主人公が不老不死の秘薬を求めて旅をするが、あと一歩のところで手に入れることができず、最後は普通に死んでいく。

 ほかにもギリシャ、北欧、インドなどに不老不死伝説は残っている。例えば16世紀のドイツの画家、クラナハによる『青春の泉』には、老人たちが泉に入ると若返っていく様子が描かれている。ヨーロッパの伝説が題材になっているのだが、現在でも若さと健康のために温泉は世界中で人気だ。最近では「温泉療法」という医学的に効果が実証されている治療法も保険適用され、リウマチなどの患者を中心に広まっている。

 不老不死への憧れは、人を狂気の世界へと誘う。日本の不老不死にも多大な影響を与えたのが紀元前3世紀の秦の始皇帝。幼少から病弱だった始皇帝は死を恐れ、永遠の命を手に入れることに執着して、最後は水銀を不老不死の仙薬と信じて飲み、中毒死したとされる。

 始皇帝は日本を不老不死の国「蓬莱」だと信じて、徐福という使者を日本に派遣して、仙人や仙薬を探させた。これが、今でも日本各地に残る「徐福伝説」。徐福が日本中を探し回った時に見つかったといわれる不老不死の水や薬草、食物などが、全国30ヵ所以上の場所で語り継がれている。