番外編17:青く輝く蝶がやってくる木

メネラウスモルフォ(鱗粉目:タテハチョウ科:ジャノメチョウ亜科:モルフォチョウ族)
Menelaus morpho butterfly, Morpho menelaus amathonte
モルフォチョウがやってきた! これは連写で撮った4枚の写真を合成したものです。
前翅長:約60 mm 撮影地:サラピキ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

 ラ・セルバ生物研究所の熱帯雨林の森の林道を、虫を探しながらテクテク歩いていると、急に蝶が目の前を飛んだ! フクロウチョウだ!

 それはお昼頃のこと。周囲を見回すと、「おお~」蝶が集まっている木があるではないか。フクロウチョウ(次の写真)やフタオチョウの仲間。蝶以外にもハチやハエの仲間がたくさん来ている。



 「なんやろう」とよく見てみると、木の幹にサトイモ科の着生植物が巻き付いていて、高いところまで伸びたその茎から、汁がしみだしている。汁はところどころがモロモロっと白く発酵し、甘~い香りを放出していた。なるほど昆虫たちがこれをいただきに来ているのだ。

 と思っていたら、こんどはモルフォチョウがやってきた!

 モルフォチョウは中南米に生息する蝶のグループで、その多くは青く輝く翅をもつことから、昆虫ファンの絶大な人気を集めている。暗くても輝きを放つ「モルフォブルー」が幹の周りで舞っている! 息をこらえて連写でシャッターを切る。

 やはりこの甘い汁の木に止まり、汁を吸い始めた。
 時折、パタッ、パタッと翅を開く。



 そっとそ~っと近づきながら撮影する。ドキドキ感が増していく。もうこれ以上近づけないというところまで近づいて、パチリ(下の写真)。

 小さな達成感と自己満足感に酔いしれたのでありました。

メネラウスモルフォ(鱗粉目:タテハチョウ科:ジャノメチョウ亜科:モルフォチョウ族)
Menelaus morpho butterfly, Morpho menelaus amathonte
翅を閉じると茶色く地味で、目玉模様がいくつもついている。
前翅長:約60 mm 撮影地:サラピキ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
撮影者:Tamaki Morita(写真クリックで拡大)
西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html