リスク・テイカー 危険覚悟の挑戦者

鳥たちの未来を守る

チャーン・シェケルジオール

文=ジェレミー・バーリン 写真=マルコ・グロブ

チャーン・シェケルジオールは、絶滅の危機にある鳥類を記録し、その保護に尽力する鳥類学者だ。米国では大学教授、祖国のトルコでは自然保護団体の主宰者という“二足のわらじ”をはいているが、どちらもそれなりのリスクを伴う。

――現在のような人生を歩んでいるのは、なぜでしょう。誰かの影響ですか?

 幼い頃から自然が大好きでした。サッカーなど普通の遊びには目もくれず、昆虫や動物をあれこれ家に持ち込んだりしていたので、心配した母に児童精神科医へ連れていかれたくらいです。でも、父には大いに影響されました。不況のさなかに安定した経理の仕事を辞め、トルコで初の模型飛行機メーカーを興したのです。

――研究活動中に、危険な目に遭ったことはありますか?

 鳥の調査中、アラスカではハイイログマ、タンザニアではゾウに襲われ、ウガンダでは毒ヘビに遭遇しました。テロリストと政府軍の間で立ち往生したり、スパイと間違われたり、銃を突きつけられたり、車を奪われたり、なたを持った男たちに攻撃されたり……。実のところ、野生動物よりも人間や自動車の方が怖いですね。

――トルコで環境保護活動に取り組む難しさはあるのでしょうか。

 自分の研究に許可を出す立場にある公的な機関を、批判せざるを得ないこともあります。政府は自然保護を唱える一方で原生林を伐採し、多くの川にダムを造ってきました。私は今、トルコにすむ鳥類の約半数の種が見られるアラス川の湿地を守ろうと、この川でのダムの建設計画に反対しています。でも、あまり大きな声を上げると、もっともらしい別の理由をつけて罰せられるかもしれません。

――目の前のリスクに、ひるむことはないのですか。

 わざわざリスクを求めはしませんが、避けもしません。失敗は、自分自身が少なくとも挑戦はしたことの証しでしょう? 自分にできるのは、やってみることだけ。仮にうまくいかなくても、そのときは、せめて戦ったうえで失敗したいんです。

「リスク・テイカー」最新記事