ドアベルをならす?

 そんなことをして本当に大丈夫だろうか?

 あまりにも失礼ではないか?

 いや、ここまできて、なにをいまさら……。

 でも、やっぱり怖いな。

 だったら置き手紙を残そうか?

 その返事を、どうやって聞けば良いんだ?

 携帯電話なんてありません。自分の居場所の地図を描いて「ここでキャンプしています」なんて書いたとしても、果たして信じてもらえるでしょうか。

 ジムに会いたいという意志は固く、ここまでやってきたものの、やはり、現実的なことを考えると、会うことはとても無理なのではないかと、不安が募ってきました。

 <このまま、ずっとここにいてオオカミを探そうかな……>

 そんな後ろ向きな気持ちが、まったく芽生えなかったといえば嘘になるでしょう。

 何度も何度も自問自答しながら、手にした詩集のページをぱらぱらとめくったところで、内容が頭に入ってくるわけがありません。

 それでも、ぼんやりと流し読みをしていると、詩集のなかに、挑発的ともいえる、荒々しく、力強い言葉が並んでいるのがわかりました。

 ホイットマンが大声でなにかを主張しつづけている……。

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