第36話 待ちに待った、トーニャの帰還!
近くに病院もなければ、医者もいないこの原野で、誰もインフルエンザになどにはかかりたくない。
せっかく帰ってきたトーニャだったのだけれど、あっという間に、距離をもって接しなければならない厄介者になってしまったのだった。
「せめて……、治ってから帰ってきてもいいのに……」
と言うと、
「そうなんだけど、みんなの顔が見たかったのよ~」と彼女は苦笑い。
ドイツからの新入りも増えて、賑やかになったこのロッジが、トーニャには楽しそうに思えたらしい。
いつも1人で切り盛りしていたのだから、こういう人がたくさんいる状況に飢えてもいたのだろう。
「みんな、うつらないでね」と、トーニャは言うけれど、あちこちで猛威を振るっているインフルエンザである。そう、簡単なことではない。
特に私など、北米で蔓延するインフルエンザには、いつも酷い目にあっているので、かなり神経質になってしまう。
なので、このロッジのオーナーとは言え、トーニャはしばらく監禁。いや、隔離だ!
もちろん、犬たちにも面会お断りである。