第5回 文系理系の壁を超えた新しい科学がやってくる!

 さて、最後に。

 ぼくから見て、「とても大事なことを言っているように思えるのに、全貌が掴みにくい」三中さんの研究の広がりをざっと駆け足で眺めてきて、結論的には、やはりぼくは、同じ感想を抱く。やっぱり、広く、深く、全貌の把握は難しい。

 ひとつ、明確に意識したことは、研究者としての三中さんの面白さというのが、諸分野のリンクマン「繋げる人」であることだ。

 生き物好きとして育ち、生物と関係する勉強をして、統計家になった。今や統計学とコンピュータは切り離せないので、情報科学との接点がある。科学史や科学哲学についても積極的に学んできた。数学にも明るい。今回は触れなかったが、三中さんの著作を読んでいると、例えば系統樹や系譜図で使われるチェイン・ツリー・ネットワークが、数学のグラフ理論でどう位置づけられるかなど基礎固めの仕事もしている。

 三中さんが、諸分野のリンクマンとして、このような議論を展開することで、どのような将来展望があるだろう。「文理の壁」の問題など一筋縄ではいかない問題をも提起しつつ、一番根本的なところとは──

※図は世界の宗教を比較したJ・G・R・フォーロングによる「生命の潮流すなわちすべての大陸の人間の信仰」(1883年)。宗教史のさまざまな事象が年表形式でまとめられている。人間の営みをツリー・ネットワークで表現しようとした古い例のひとつ。全長2.3m!