第5回 文系理系の壁を超えた新しい科学がやってくる!

 文化系統学、である。まだ、学会もないし、専門誌もあるわけではないのだが、三中さんが「系統樹」の森を渡り歩くうち、生物進化とは違う研究で「似たこと」をしている人たちが沢山いることが明らかになってきたのである。昨年、三中さんらが編者となって『文化系統学への招待』(勁草書房)という論文集が出て、俄然、注目が集まっている。収められている論文のタイトルをいくつか眺めるだけでも刺激的だ。

・「百鬼夜行絵巻」写本の系統
・『老葉』に対する系統学的アプローチ──宗祇による連歌の系譜
・系統比較法による仮説検定──社会・政治進化のパターンとプロセス
・一九世紀擬洋風建築とG・クブラーの系統年代について
・文化の継承メカニズム──学ぶことと教えること
・イメージの系統樹──アビ・ヴァールブルクのイコノロジー
・文化系統学と系統樹思考──存在から生成を導くために

 といったふう。

「系統樹的な考え方というのは、色々な分野でパラレルにやってきているんですね。言語学もやってきたし、写本系統学もやってきた。あるいは建築様式の進化でも、社会・政治の進化でも。それぞれの分野で同じようなことを考えながら、それでそれぞれの分野のオブジェクト、つまり、言語なり写本なり、建築様式、文化構築とかですね、そういうものの進化を考えてきたんですけど、そろそろ、相互の乗り入れを考えたほうがいいだろうと」