現存のデータから、歴史を知りたい。そういったサイエンス。

 収集したデータをもとに、様々な統計的手法を使って、一番もっともらしい、系統関係を割り出す。恐竜の場合は化石の形態。分子生物学的な方法が可能な現生の生物の場合は、核DNAやミトコンドリアDNAの塩基配列、あるいはタンパク質のアミノ酸配列。それらを比較することで、系統関係を推定する。

 この時の思考法は、物理学や化学分野で、実験して理論構築し、一般的な法則を導くのとは違っているように思う。よく言われる演繹や帰納とは違った、方法である。

 三中さんは、「アブダクション」という。

 人によっては「アブダクション」は、「宇宙人に誘拐されること」かもしれないので、ややこしい。しかし、ここでは、科学的な思考法の一つとして挙げられている。

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「もともとは、19世紀なかば、アメリカの論理学者・数学者、チャールズ・サンダース・パースが言い出したことですね。論理的な推論の様式として、演繹と帰納と、もう一つアブダクションというのがあると指摘したわけです。データから最善の仮説へとジャンプすることがアブダクションなんだと。要するに宇宙人がこう、人をさらうみたいに」

 パースは、ここでは論理学者・数学者としたが、日本ではプラグマティズムの創始者として知られているかもしれない。彼は、実に博覧強記な人物であったらしく、論理学・数学のほかにも、記号論にも通じ、デジタル・コンピュータのひとつの基礎ともいえる電子的なスイッチによる論理演算を考案した。

 さて、パースが言うアブダクションだが、データから最善の仮説へのジャンプ、と言われても、今ひとつよく分からない。

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