「系統関係を推定するのは、物理や化学とは違ったタイプの科学だと考えたほうがいいと思うんですよ。物理学みたいに一般的な法則を導いたりとか、普遍法則を導いたり、とか、そういうことを目指しているんじゃないんですよね。系統推定って、そういう種類の科学ではない」

 科学と呼ばれているものにも、いろいろな種類があるのではないか、というのである。

「系統樹の推定でやりたいことというのは、例えば恐竜だったら恐竜、地球のある時期に出現したある生物群がどういうふうに分岐して、種分化して、発展していったのかを明らかにすることです。それは全然一般的じゃなくて、ある特定の生物群がどんなヒストリーをもってきたのかを、現存のデータから逆に推論するっていう、そういうサイエンスになるわけですね」

「それは恐竜だけじゃなくて、一般の系統樹の推定、言語だって写本だってそうです。一般則、法則を導くんじゃなくて、ある特定のオブジェクトがどんな歴史をたどったのか知りたいと。そのときの方法論は、生物学に限らず幾つかの学問分野で共通にあって、それを我々は使い続けてきたんだと。あるオブジェクトのたどった歴史を現存のデータから調べるのは、常に同じサイエンスの共通性を持ってるはずなんですね」

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