第3回 ハヤブサがタカよりインコに近かったことが示すもの

 ひとつは、系統や分類にまつわる科学ニュースを読む時に見晴らしがよくなるから。これだけでも、結構、楽しいことである。

 また、日常生活の中でも、「思考法」として、今自分が「階層やネットワークを理解しようとしているのか」「分類しようとしているのか」区別できた方がよいとも思う。

 ひるがえって、専門領域ではどうだろう。

 今、「系統分類学」の名を冠する研究室が様々な大学や研究機関にある。系統を分類にできるだけ反映させたいという欲求が、どこかにあるのだと推察する。三中さんが述べるように「系統と分類はともに大切だが、別のこと」と割り切れる研究者は少ないのかもしれないし、実際、ぼくも、分類が系統をまったく反映していないとしたら、なんだか悲しい気もする。この感覚はいったい何だろうか……。

 なお、分類と系統の関係については、まとめていて大変舌足らずだと感じるので、興味のある方はぜひ三中さんの『系統樹思考の世界』『分類思考の世界』(ともに講談社現代新書)に進んでください。ひとつ選べと言われれば、前者を推奨。

(写真クリックで拡大)

つづく

三中信宏(みなか のぶひろ)

1958年、京都生まれ。農学博士。独立行政法人農業環境技術研究所上席研究員、および東京大学大学院農学生命科学研究科教授、東京農業大学大学院農学専攻客員教授を兼任。東京大学農学部農業生物学科卒業。専門は進化生物学・生物統計学。『生物系統学』(東大出版会)『系統樹思考の世界』『分類思考の世界』(ともに講談社現代新書)、『進化思考の世界』 (NHKブックス)『文化系統学への招待: 文化の進化パターンを探る』(勁草書房)『系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク』(NTT出版)など、著書多数。公式サイトはhttp://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/、ツイッターアカウント@leeswijzer

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)はNHKでアニメ化され、「銀河へキックオフ」として放送された。近著は、独特の生態系をもつニュージーランドを舞台に写真家のパパを追う旅に出る兄妹の冒険物語『12月の夏休み』(偕成社)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider