第3回 ハヤブサがタカよりインコに近かったことが示すもの
「系統的な考え方、分類的な考え方、というのがあると思うんですね。僕は『思考法』と勝手に呼んでるんですけど、それぞれの思考法は使われる場面が違うんです。系統的な考え方っていうのは、例えば生物に限定するならば、それこそ時間的な発展の姿ですよね。分類というのは、ある意味、時空的にスパッとこう、切ったときの切り口のパターン。生物なら生物、言語なら言語ってオブジェクトを考えても、どういう視点でとらえてるのかという、その目線の置き方が違うと思うんです」
三中さんによれば、「分類と系統はオブジェクトの多様性の理解を深めるための両輪」だ。両方ともないとダメで、しかし、これらは別物だ。
「分類というのは、系統樹のツリーよりは、次元が1つか2つ下がったもののはずなんです。系統を時空的に切ったときの切り口のパターン、いわば、射影です。ある場合には分類的なとらえ方をした方が適切な場合もあるでしょうし、もう一方ではツリー、あるいはネットワークとして、時空的に変遷していくオブジェクトの姿を捉えたい時もあるわけです」
タカとハヤブサが系統は違う。分子生物学的な研究で、これは間違いない水準だと思ってよいらしい。しかし、ある時点・ある地域の生態系を論じる時、両方とも「狩りをする鳥」猛禽類としてひとくくりに理解した方が合理的な時もある。その時、大切なのは系統ではなく、適切な分類だ。
このあたりの議論は、素人の我々も、ざっくり理解しておくとよいのではないだろうか。