第35話 若者たちの語らい。「俺は、キラーじゃない!」

 ロッジには、ミンチュミナに飛んでくる飛行機のための無線受信機が設置されていて、突然、トーニャがその飛行機に乗っていることを伝えてきたのだ。

 トーニャが帰ってくる。

 それは、待ちに待っていたことだった。

 それにしても、「帰るよー」と、電話の1本もしてくれればいいのに……。

 しかしながら、ミンチュミナに来る飛行機は、天候次第でいつ飛べるかも分からない小型機なので、確実なことは言えないのだった。

 そうと決まれば、トーニャが帰ってきたときのための準備である。

 ところが、いったい何をすればいいのか?

「何もすることないよ」トビエスが言う。

「美味しいもの、作ろうか?」私は言った。

「街で、ここよりももっと美味しいものを食べて来たわよ」セビーナが言う。

「そっか…………」私たちは頷いて、ただトーニャの到着を待つことにした。

 しかし……、この地に降り立ったトーニャを見た瞬間……、

「まじ~」
「ええええ~」
「近寄らないで~」

つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/