エルンスト・ヘッケル。(写真クリックで拡大)

「系統樹は、ダーウィンが進化論と一緒に発明したと思う人がいるのですが、実はダーウィン自身は、系統樹的なものはほとんど描かなかったんです。むしろ、ドイツで進化論を広めた同時代のエルンスト・ヘッケルがおびただしい数の系統樹を描いています」

 と、まず、三中さんは、系統樹=ダーウィン、というような短絡した考えに、釘を刺した。

『生物の驚異的な形』より。(画像クリックで拡大)

 ヘッケルは進化論者であったが、同時に優秀な比較解剖学者であった。実に絵心がある人物で、著名な生物画集『生物の驚異的な形』(河出書房新社より邦訳が出ている)は、看板にいつわりなく驚異的に美しい。19世紀の博物学者・比較解剖学者の面目躍如。その真骨頂は、言葉による解説部よりも、むしろ、放散虫や珪藻類、植物などを、細密に描いた生物画そのものだ。


ヘッケルが描いた全生物の単系統的系統樹。(画像クリックで拡大)
ヘッケルの人類の系統発生的分類。時間的な生物の進化に空間的な次元を付与した系統樹として、人類が地球全体を埋め尽くす時空的な存在であることを強く印象づける。(画像クリックで拡大)

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