第1回 「裏の仕事」は“系統樹ハンター”

 ここで立ち止まって考えてみる。我々が「系統樹」と口にする時、どのようなものをイメージしているか。共通祖先のような存在が始点にあり、それが次第に分岐していく様が樹木のように見えるから、系統樹、というのだろう。

 もしも、もっと単純に「分岐がない系統樹」のようなものを考えたなら、それは樹というよりは鎖だ。ツリーではなくチェイン。たまたま分岐がない樹(ツリー)が鎖(チェイン)ともいえる。

 とすると、たとえば古くから言われてきた「存在の連鎖」(右の図)のように、土・火・空気・水の四大元素から始まって人間に至るまで、一つの連なりのものとして把握しようとする試みも、三中さんの興味の対象となる。

 さらに、アニメ・ヱヴァンゲリヲンでも有名になった、神秘思想カバラの「生命の樹(セフィロート)」のような図像(ページ下)はどうだろう。これは「樹」と呼ばれるように、樹木をイメージしているわけだが、単純に分岐していくツリーではない。

「要するに世界の真実はこうだ、というダイアグラムですよね。これはかなり戦略的に、1枚こう絵を描いて、印象づけようとしているわけです。生命の樹と呼ばれていますが、構造はネットワークになっていますね」

ヱヴァンゲリヲンでも有名になった神秘思想カバラの「セフィロートの樹」。これも中世の思想家アタナシウス・キルヒャーによるもの。セフィロートの樹は『鋼の錬金術師』にも使われていた。(画像クリックで拡大)