その瞬間にボクの頭の中に閃いたことがあった。

「例えばリターンサンプルのカプセルって海に落とせないんでしょうか? 映画で見たんですけどアポロの宇宙飛行士の帰還用カプセルって海に落としてませんでしたっけ?」

ボクの質問で高野君もボクの言いたい事が分かったようだった。

JAXAとJAMSTECを結びつけるアイデア

つまりボクらは「リターンサンプルを海に落として、その回収をJAMSTECの研究調査船、しかも一番研究環境が優れているちきゅう、でやる。そしてそのままちきゅう船上の研究施設で検疫までしてしまえば自動的にサンプルに一次解析までできてしまう雪崩式フランケンシュタイナーが可能になるんジャマイカ?」と考えたんだ。

このアイデアは結構イケルと思った。ボクや高野君のようにJAMSTECにいながらアストロバイオロジーをなんとかしたいと思っていた研究者にとって、JAMSTECとして具体的に貢献できる対象だった。しかもJAXAとJAMSTECというこれまで海の衛星観測でしか繋がりのなかった研究機関を、アストロバイオロジーというキーワードで結びつけるキッカケになるかもしれなかった。

その後、話は盛り上がってリターンサンプルの洋上回収と宇宙検疫を含めた一次解析の具体的な打ち合わせにまで発展した。そしてJAMSTECとして高野君を中心に計画を作ると言う事で話はまとまった。ボクも逃走経路は確保しながらも、企画部門や上層部との折衝を手伝うことになった。

その集まりの後しばらくして、ボクは企画書を作るための準備として、それまでほとんど知らなかったエンケラドゥスの研究成果について調べてみた。

エンケラドゥスはNASAの探査機であるカッシーニによって調査されており、宇宙空間に噴出する巨大な氷プルームが存在していることまでは知っていた。しかし検索して引っかかってきたいくつかの論文をしっかり読んだ時、ボクは久しぶりに落雷を受けたかのような衝撃を受けたんだ。

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