渋谷岳造君は肉食獣指導教官の影響か壮大な放置プレーの後遺症のせいか、研究指向において一番保守的なところがあった。とはいえ彼自身は、絶滅が危惧されつつある変質岩石学やフィールド地質学の研究者なのでそれはそれでとても貴重な人材である。

ところが現在、渋谷岳造君はNASA JPLに留学し、分野を超えた天才マイケル・ラッセルと日々濃厚な時間を過ごしている。すごくイイ影響を受けているようで楽しみである。渋谷君が「生命の起源の鍵はRNAワールドですよ」と言い出したら、アンチRNAワールドのボクはいつでもRNAワールド派に転ぶ準備がある。

しかし、プレカンラボの歴史はそんな簡単にハッピーエンドとはいかないのだ。

プレカンラボの伝統と誇り

2009年4月に始まった新生プレカンラボには、その後もたびたび絶滅の危機が訪れた。2010年の秋には、行政刷新会議(あの有名なレンホー議員のヤツの目立たないバージョン)の指導書に「プレカンラボってなによ? それイラネ」とまで書かれてしまったり、そのためJAMSTECの前プレジデントから「名前を変えてちょ」と言われたり、企画部門から「もうそろそろいいんじゃないすか」と肩たたきされたり。

それでもプレカンラボは今もなお存続している。

絶滅危機が訪れるたびにメンバーが集合し、己の存在を賭けたプレゼンテーションや諜報・破壊活動を行って、ナントカ持ちこたえてきたんだ。相変わらずボクもしゃしゃり出るけれど、メンバー達の「自分の組織は自分で守るという意識と行動」はプレカンラボ設立以来の伝統の賜物だ。そして第一回絶滅危機を救ったあの自然発生的研究組織を守ろうとする「JAMSTECの誇り」が消えていない証拠だ。

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