こうなったら、ポンチョのブラインドが役に立つことを祈るばかりです。

 ビーバーロッジの上の、濃い緑色をした細長い三角形の物体。

 じっとしていれば、たんなる針葉樹にみえなくもない……かどうかわかりませんが。

 心配しながら、そっと振り返ると、卵を抱いていたルーンが、するするっと巣を離れ、水面を泳ぎだしました。

 お互いに近づいて、なにやら顔を見合わせ、きょろきょろしています。

 <変なものがあるって、相談してるのかな……>

 ぼくはただじっと、その場で気配を消して、1本の木になったように、静かにしていました。

 汗がにじみ、鼻がかゆくなっても、動くことは許されません。

 小さい頃に遊んだ「だるまさんがころんだ」でも、ここまで真剣になったことはないでしょう。

 2羽のルーンは、しばらく湖面を並んで泳いでいました。

 <交代するのかな……>

 しかし、ルーンのつがいは、巣に戻るどころか、突然、バタバタと羽を上下に動かして、勢いよく湖の真ん中に向かって走り出したのです。

 ぼくの存在に気づいて逃げ出したのかと思いましたが、昨日の慌てた様子とは違っていました。

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