第46回 祭りのあと
湖面を近づいてきたのは、よく見ると、ビーバーではありませんでした。
それは、もう1羽のルーン(=ハシグロアビ)でした。
ゆっくりとこちらに向かって、音もなく泳いできます。
<そうか、親鳥はもう1羽いるんだった……>
体の大きさも模様も、巣で卵を温めているルーンとまったく同じに見えます。
どちらがオスで、どちらがメスなのか、外見からは判断がつきません。
抱卵を交代するつもりなのでしょうか。
それとも、座り続けるパートナーのために、食べ物を運んできたのでしょうか。
昨日なぜ姿を見なかったのかはわかりません。
ぼくも都合良く巣に近づくことばかりを考えていて、もう1羽いるはずのルーンにまで、気がまわりませんでした。