第34話 新たな仲間の出現! しかし彼は、野獣???
夜は、スティーブカップルと美女と野獣カップルと一緒に食べて、久しぶりにワインを飲んだ。
オリバー爺さんもやってきて、くつろぎながら、静かな語らいの場となった。
ロッジは、裸電球が1つ灯るだけである。
そのぼんやりとした明かりの中で、トビエスが再び、メスのグリズリーを撃った話を始めた。
私は、「あちゃ……」と、顔を伏せた。
この和んだ雰囲気のなかで、その話をすることを望んでいなかったのだ。
きっと、スティーブやオリバー爺さんも同じだろう。
セビーナも、苦々しい顔をしていた。
その場の空気が読めないトビエスの自慢話に、鉄槌を下すように厳しい言葉を入れたのは、やはりここは歳の功、オリバー爺さんだった。
「わしゃ、50年以上アラスカの森の中で生きとるが、グリズリーは撃たん!」
その言葉に、私はとっさに尋ねた。
「撃たなきゃいけなかったことが、一度もないの?」
「ない」
オリバー爺さんは、きっぱりと言う。