しんかい6500の上からコックピットをのぞき込む(写真クリックで拡大)

1万mが得意だと、2000mが苦手に


「深度によって、海面まで浮き上がるのに必要な力が変わるからです。海面近くと6500メートルの海底とを比べると、しんかい6500にかかる浮力は約250kg違います。基本的に、最深部のコンディションに合わせておいて設計されますので、浅い海域では浮力が足りなくなります」

 ということは?

「しんかい6500で海面近くの潜航をするときには、積む荷物を、250kg減らさなくてはなりません。なので、採取するサンプルの量を少なくしたり、研究者が持ち込む計測機器などの重量に制限をかけたりする必要が出てきます」

 ということは、仮に、今のしんかい6500と同じ技術で、1万メートルに最適なものを造ると、それは、2000メートルとか、4000メートルとか、そういうところが苦手になる。

「それでいいのか、という思いはあります。でも、やっぱり6500メートルより深いところに行ってみたいですよ。日本海溝の最深部は約8000メートル、日本の排他的経済水域内の最深部は9000メートルを超えますからね」

 そのしんかい6500を造る前に、技術評価の目的で、しんかい2000が造られている。1981年のことだ。

 小倉さんは、そのしんかい2000でも30回の潜航経験がある。
 もともとこの仕事に就いたのは、しんかい2000の整備士としてだ。

 小倉さんのお父さんは船乗りだった。

「育った家の周りもみんな船乗りで、当然、子どもの頃の自分も、将来は船に乗るんだと思っていました。中学を卒業したら、すぐに船に乗りたかった。でも、親に反対されまして(笑)」

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