第4回 辺境で地球と一体になる

――南極の撮影を終えて、スタッフから「もう一度ここに来たいか」と尋ねられて、大沢さんは答えに躊躇し、「もう来ない」と答えたそうですね。南極も、その一体感を与えてくれる場所のはずですが、そう答えたのはなぜですか。

 生きものたちを見ていて、ここでは人間は異物でしかないと思ったんです。

 たとえば、南極で見に行ったペンギンのコロニー。その場所はペンギンたちと、それを取り巻く他のさまざまな生きものと、彼らの生活を支える自然で成り立っている世界です。それでバランスがとれているわけです。

 そこは保護区で、一定のルールに従って入りますから、人間が過度に生きものを脅かすことも、自然を壊すこともないと思います。しかし、それでも僕がもう一度そこへ行けば、それだけの影響を残すことになるでしょう。

 歩けば、本来はそこにないはずの足跡を残します。その足跡が、陸と海を行き来して生活する生きものの道を分断してしまうかもしれない。経路が分断されれば、移動の流れも変わってしまうでしょう。

 小さなことかもしれませんが、そういう異物の闖入が度重なれば、それだけ影響は大きくなりますね。それならば、行かないに越したことはないと考えたのです。

――とはいいつつも、南極から戻ってから「次は北極へ」と言い出したのは大沢さんだったとか。