第33話 子犬たちと反省……、ドタバタ最後の漁。

「危ない、危ない」

 と、また危うい体重移動をすると、船の縁で、前かがみで作業をするスティーブから、叱責の声が飛んできた。

「おとなしくしろ!」
「は、はい!」

 それは、私にではなく、子犬たちに向けられたものだったのだけれど、私は、心で正座をするように、子犬たちと共に立ち尽くして、深く反省するのだった…………。

 大騒ぎをして、すみません……。

 今期最後となる網漁は、まずまずの取れようだった。

 ワニ顔のパイクくんも、ホワイトちゃんも、ぬめぬめのバーボットさんも、みんなバケツの中に収まっている。

 子犬たちは、相変わらず魚に興味が尽きないようで、くんくんと臭いを嗅いでは、「これ、なに?」という顔をしている。

 私はニコリとして、子犬たちに言った。

「今日はお前たちも、ご馳走だよ。きっと」

今日はごちそうだよ。きっと。(写真クリックで拡大)

つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/