第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ

その6  プレカンラボ、絶滅の危機

前回まで:2007年10月、JAMSTEC内で、化石記録のない先カンブリア時代の生命現象解明に挑むバーチャル研究プロジェクト「プレカンブリアンエコシステムラボラトリー(略称:プレカンラボ)」が発進しました。ところが1年後、存続の危機を迎えてしまいます。


プレカンブリアンエコシステムラボラトリートライアル版が始まって数ヶ月。2008年になるとボクは、またもやアポなし理事室突撃を敢行し、末廣さんに直談判を行った。

バーチャル組織にリアル研究者を!

「どうもプレカンブリアンエコシステムラボラトリー設立のJAMSTECの男気が国内で話題騒然になっていて、ポスドク経験者や博士号取得予定学生から、研究員やポスドクの採用予定についての問い合わせがすごいんです。たしかにプレカンラボはバーチャル組織で行くというのが約束でしたが、リアルな専属研究者がいないのは仏像を彫って魂を入れないのと同じです。JAMSTECバーチャル研究ポスドク制度を導入しましょう(当時、JAMSTECにはポスドク制度がなかった。また各研究センターが直接、必要な研究者を雇う制度だったので、バーチャル組織だったプレカンラボにはその権利はなかった)。野村監督時代の阪神のF1セブン(赤星選手をはじめとする7人の俊足選手)みたいに末廣さん直属の研究者を雇ってください!!」

こうして書くと末廣さんは「とても押しの弱い人の良さそうな上司」みたいに思えるかもしれないが、ホントーは理想主義者で鬼のような行動力と決断力を持ったパワフルかつ恐ろしい人だったのだ。何度も直談判が成功したのは、たまたまボクと末廣さんのそれぞれ別に思い描いていた方向性に合致する部分があっただけ。そのように指摘する専門家が多い(どこに)。