リスク・テイカー 危険覚悟の挑戦者

大空への夢を育てるパイロット

バーリントン・アービング

文=パット・ウォルターズ 写真=マルコ・グロブ

バーリントン・アービングは2007年6月27日、世界一周単独飛行の最年少記録を打ち立てた。23歳のときだ。高校時代にアメリカンフットボールのスター選手だった彼は、航空学を学び始めて1年ほどで、単発機による4万4000キロの世界一周飛行を決断し、スポンサーを探した。無謀とも思える挑戦は、若い世代にメッセージを伝えるためだったという。能力の限界に挑んで、可能性を広げてみよう――。現在、彼はフロリダ州に設立した学校で、大空への夢を抱く子どもたちを応援している。

――なぜ飛ぶんですか?

私が飛ばずにいられないのは、天と地の間に身を置くのが刺激的だからです。自分の生命が宙ぶらりんの状態になる。だからこそ、正確な操縦が求められます。あれほど興奮するのに、あれほど平静になれる感覚は、ほかでは味わえませんよ。

――そのような複雑な感情を抱いた体験を具体的に教えてください。

この話をするたびに鳥肌が立ちますが、日本からアラスカ州のシェミア島に向かっていたときの体験です。風速35~55メートルの猛烈な風が吹きつけ、最後の3時間は氷雨を伴う暴風に見舞われました。旅客機のパイロットたちが無線で「何してる? 引き返せ」と言ってきましたよ。「引き返すだけの燃料がない」と答えると、彼らは私の両親の名前と電話番号を尋ねてきました。助かる見込みはないと思ったのでしょうね。どうにか島に着陸したとき、燃料はあと12分で尽きるところでした。

――現在、子どもたちが科学や工学を学べる学校を運営していますね。

子どもたちにゼロから飛行機を作らせたことがあります。完成したら、私が操縦すると言ってね。「間違えたみたい」とか「やり方がわからない」とか言いながら作業していました。完成して離陸しましたが、エンジンが止まらないか心配でした。

――でも、ちゃんと飛んだんですね?

ええ。見事に。

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