File4 しんかい6500パイロットチーム

第3回 私はこうしてパイロットになりました

「宇宙飛行士より少ないかも」とウワサの深海調査艇パイロット。確かに現役潜水艇は世界に7艇ほどだから、かなり狭き門であることは間違いないだろう。そんな貴重なパイロットに、彼らはどんな経緯でなったのか。「しんかい6500」の若手パイロット(本当はコパイロット)お二人にうかがいました。(写真:田中良知)

「しんかい6500」コパイロットの片桐昌弥さん。(写真クリックで拡大)

 しんかい6500のパイロットになるための必要条件は、一級小型船舶操縦士の資格を持っていることである。
 しかし、それだけではもちろん、パイロットにはなれない。

 では、どうしたら、しんかい6500のパイロットになれるのか。
 答えは、JAMSTECが2004年からしんかい6500の運航を委託している日本海洋事業の深海技術部にある、しんかい6500運航チームに所属をし、トレーニングを積む、となるのだが、どうやってそこまでたどり着くのか。

「小学校の時の教科書に、しんかい6500が出ていて、ああ、こういう乗り物があるんだ、と思いました」

 そう話すのは、コパイロット、すなわち副船長の片桐昌弥さんだ。

卒業文集に「しんかいパイロット」


「ただ、その頃の興味は、深海生物の方にありました。深海に特化した形で進化していて、変な形にも、意味があるんだなと思っていました」

 なので、しばらくは、深海生物の研究者になることを夢見ていた。
 そして高校生になった頃、一冊の本に出会う。2003年発行の『深海のパイロット』(光文社新書)だ。
 共著者には、元々はしんかいのパイロットで、現在はJAMSTECで海洋工学センター運航部長を努める田代省三さんが名を連ねている。
「そこに、こうやったらなれるよ、というようなことが書いてありました」

 その頃に、研究者としてではなく、エンジニアリングの面から、しんかい6500に関わろうと決めた。
「どちらかというと、機械とか、そういう方に向いているかなと思いまして」

 神奈川県川崎市に暮らしていた片桐さんは、JAMSTECに体験学習に訪れ、そして、高校の卒業文集には「しんかい6500のパイロットになりたい」と書いた。