高級木材として取引されるペルーのマホガニー。乱伐はほかの樹木にもおよび、森全体の存続が危ぶまれている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

失われる“赤い黄金” マホガニーの森

高級木材として取引されるペルーのマホガニー。乱伐はほかの樹木にもおよび、森全体の存続が危ぶまれている。

文=スコット・ウォレス/写真=アレックス・ウェッブ

 「赤い黄金」と呼ばれるマホガニーは、最上級の木材として高く評価されてきた。丈夫だし、木目は赤く美しい。伐採された1本のマホガニーが加工されて欧米の店頭に並ぶ頃には、数百万円の価値になることもある。

 ところが、中米から南米アマゾンにかけて自生していたマホガニーの森は、乱伐によってかつての30%にまで縮小。その取引もワシントン条約によって制限された。2001年、ブラジル政府がオオバマホガニーの伐採の全面中止を宣言すると、ペルーは世界屈指のマホガニー輸出国として脚光を浴びるようになった。その結果、ペルーのマホガニーは、先住民アシェニンカの生活圏を含め、広い範囲でほぼ姿を消してしまった。

 そこで伐採業者たちが目を向け始めたのが、コパイバ、イシピンゴ、シワワコ、カピロナといった、これまであまりなじみのなかった樹木だ。マホガニーのような高価な銘木と違って保護されることは少ないが、森林の生態系では重要な役割を果たしている。

 金になる樹木を片端からあさる伐採業者たちは、値段の低い木によるもうけの目減りを量で補おうと、以前より多く伐採するようになった。そのため重要な生態系が脅かされ、樹冠に生息するサルや鳥、両生類などの居場所が失われつつある。

利用される先住民、立ち上がる先住民

 違法な伐採業者は、この土地の周辺にある先住民の集落を、保護区へ忍び込む裏口として利用している。先住民の多くは、現金を払うという男たちにだまされて伐採許可を得る手助けをしているが、この許可証が、保護区で違法に伐採したマホガニーの出所を偽るために使われるのだ。こうした不正行為により、ムルナウア居留地の北西部の境界を流れるウアカピステア川流域では、五つほどの集落の住民がさらに貧窮し、希望を失う結果となった。

 そんな伐採業者に勝手なことをさせまいと、立ち上がる人々も現れた。

 先住民アシェニンカの村の指導者エドウィン・チョタ・バレラ(52歳)は、10年前から彼らの村サウェトからブラジル国境の間に広がる約650平方キロの土地の所有権を認めるよう地方政府に働きかけてきた。2013年の後半にようやく認められる運びとなった。

 米リッチモンド大学の地理学者デビッド・サリスベリーも、「違法伐採と戦うためには、土地の所有権は不可欠です」と語る。サリスベリーは2004年、博士論文のための調査で現地を訪れたときにチョタたちの苦境を知り、それ以来、助言役を務めている。「ここは先住民の人々が育んできた土地です。その資源を持続的に活用するすべを一番よく知っているのは、彼らなのです」

※ナショナル ジオグラフィック4月号から一部抜粋したものです

編集者から

 最近、アンティークもののテーブルをネットで物色しています。時々、マホガニー製をうたい文句にしている商品を見かけるのですが、この特集を担当してからというもの、「これが作られたころはまだ豊富にあったのか?」などなど、さすがに考えてしまいますね。そんな折、「マホガニーのボディが美しい三輪自動車」なるものを発見。複雑な心境を通り越して、のけぞってしまいました。(編集H.O)

この号の目次へ

ナショジオクイズ

次のペンギンのうち、南極大陸沿岸に広く生息しているのはどれでしょう?

  • ヒゲペンギン
  • アデリーペンギン
  • ジェンツーペンギン

答えを見る

ナショジオとつながる

週2回
配信

メールマガジン無料登録

メルマガ登録の詳細はこちら

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー

ナショナルジオグラフィック日本版サイト

広告をスキップ