シベリア北部のボリショイ・リャホフ島で、夕暮れの空をバックに波に洗われるマンモスの牙。まだ頭骨にくっついたままだが、だからといって価値が上がるわけではないと、写真家のアルブガエバは話す。彼女はここで2カ月間、牙のハンターを取材した。「頭骨は売れないので、牙だけを引っこ抜くんです。歯医者が抜歯するみたいにね」

――マーガレット・G・ザコウィッツ

レンズの裏側

――シベリア出身だそうですね。今回の取材現場は故郷に近いんですか?

アルブガエバ:私は、サハ共和国のチクシという町で生まれました。取材現場からはそれほど遠くないところで、家の近くでマンモスの牙が見つかることもありましたよ。そういえば子どものころ、サンニコフ島という幻の島を探しにいく探検家についての小説を読んだことがあります。その島はノボシビルスク諸島の近くにあり、マンモスが生息していて、熱帯のように暖かいということだったのですが……。

――熱帯の風景にはとても見えませんね。

 見かけほど寒くはないですよ! 取材したのは夏の7月と8月で、夜の気温は氷点下10℃まで下がりますが、日中は8℃くらいあります。霧はよく出ますけど、雨はあまり降りません。

 取材している間はずっと白夜でした。太陽が沈まず、風景の変化がほとんどないので、とにかく天気が変わってほしいと願い続けていました。この写真は、夏の終わりに、ようやく太陽が少しだけ沈むようになったときに撮りました。待ちに待った夕焼けですよ。